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ここに、とあるメーカーのテレビのリモコンがある。
一見なんの変哲もないようだが、よく見るとユーザビリティ(使いやすさ)に問題のあることに気づく。
このリモコンは1が左上にあり、右上に4、左下に9、右下に12とある。即ち横4×縦3となっているのである(写真1)。
一般的にこの手のボタンは横3列であることが多い。パーソナルコンピューターのキーボードや電話などがそうだ。
人間には概念モデルというのがあり、いままで使ってきたものを学習、記憶しているものがある。この場合、一般的によくある「横3列」というものを記憶しており、それに似たようなものを扱うときはその概念モデル(記憶)を使うはずである。しかしこのリモコンにはそれがあてはまらないため混乱し、新たな配列を記憶しなければならないという試練が待ちかまえている。そのためチャンネル選択を非常にしにくい状態に陥ってしまうのである。
通常、どういうわけか電話は上段が1〜3で、パーソナルコンピューターは下段が1〜3になっている。これだけでも二つの記憶、混乱があるのに、新しい配列を憶えなきゃいけないなんて、なんて厳しい試練なのだろうと思う。
このリモコンはどうしてこのような配列になったのだろうか?技術的な問題か、それともデザイナーの身勝手か?もしかしたら何も考えられていないかもしれない。理由はどうあれ、人間が使う道具である以上はユーザビリティを優先しなければならない。見てくれなどを先に考えていてはダメだ。
次に、リモコンの真ん中右側に音量調節ボタンがある。この位置は悪くないのだが、「小」ボタンが左、「大」ボタンが右と、左右に配置されている。これが混乱を招き、ユーザビリティを低下させている(写真2)。
なぜかというと、それぞれが実際の機能に対応づけされていないからだ。例えば物を上へ動かすときにはスイッチは上に、左へ動かすときにはスイッチは左に、というように、機能とユーザーの動作は対応しているべきである。このことから、音量を上げるには上にスイッチを動かすのが自然といえる。しかし通常、テレビのリモコンはテレビに対して水平に構えるので、「上」という選択肢はあまりない。そこで一番近いのは「前」だ。即ちリモコンを垂直にして見たときに上に音量の「大」、下に「小」のボタンがあれば、自然とまではいかないが限りなく近い対応づけが出来る。こうしておけば暗闇で迷うこともないだろう。
なぜこのようにならなかったかというと、おそらく見た目のデザインを優先したのではないか。この音量調節ボタンの左側に消音ボタンがあり、そのまた左側に入力切換ボタンというのがある。おそらくこれらと並べて一直線になるようデザインされたのではないかと、推測する。しかし、この一直線に並んだデザインはお世辞にも素晴らしいとはいえない程度のものなので、それならば対応づけを優先したほうが遥かによかったのではないだろうか。
このリモコンにはまだ不可思議な点がありそうだが、今回は大きな問題を二点ご紹介した。このように、身近なもので使いにくいものはたくさんある。みなさんも身の回りのものをよく観察してみてユーザビリティについて考えてみてはどうだろうか。
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写真1: 横4×縦3だなんて…。

写真2: さらに音量調節ボタンまでもが…。

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