古い少女マンガが好きだ。中学生のとき友人が隣のお姉さんにもらったという少女マンガを読んで爆笑して以来、好きだったのだが、浪人時代に池田理代子の「おにいさまへ」という漫画を読み、それによって私の嗜好方向を決定つけられてしまった。では、「おにいさまへ」を語る前に、軽く私の偏った古少女マンガの説明を入れたいと思う。
面白いのはシリアス物だ。なぜならそのシリアス加減が、今の時代の人間には表現できないほどの笑いを秘めているからである。勿論それは現代っ子の視点で見るからギャグであるのかもしれないが…。
ストーリーは大抵同じで、主人公がいきなり超貧乏または不幸になり苛められる。そこへ恋人(超絶美形)が現れ、ライバルに邪魔&意地悪をされながらも結ばれて(心が)、ハッピーエンドもしくは心中というものだ。ここまででもいかに非凡なものか理解して欲しいのだが、更に味付けが絶妙なのである。まずは台詞!これは半ページぶち抜きで「ええ〜!」とか、「ああ〜!」とかボキャブラリーの少なさを窺わせる感動表現が行われる。しかし、「もののあわれね―」、などの古語も使用する。それから服装。これは勿論ドレス(!)である(貧乏になったらそれにつぎはぎが入る)。とにかく無意味にドレスである。普段着も学校でも、デートでもドレスである。デザイン的に見ても、中世〜近代ヨーロッパを意識しているようである。子供の頃は、本当にそういう人が街を闊歩していたのだろうと思っていたものだ。そして、ニックネームである。これは大まかに分けると三種類ある。一つ〈名前負け〉二つ〈思わず噴出すナイスセンス〉三つ〈英語呼び〉である。1は大体〈美しい人〉につけられる。宝塚男役のような少女には「薫の君」(源氏物語)「サン・ジュスト様」(フランス革命時実在)。二は三枚目役に与えられるもので、「ボン子」、「どんちゃん」、挙句の果てに、「おいも」である。全く自分がつけられたくないあだ名である。三は正美ならサミー、志藤ならシドといったような感じである。勿論、シドは音楽青年であった。それからポエムも忘れてはならない。少女マンガでは、主人公の心がポエムになって、やはり半ページくらいを飾るのだ。このポエムの特徴は、芸術性が皆無な点である。
これらより、当時の少女達の日常〜憧れが窺われる。
- 努力の末に報われるサクセスストーリー(素敵な彼ゲット)を夢見ている。
- 感動が大きい(情緒不安定?)。しかしボキャブラリーが少ない。
- ドレス大好き(特にフランス・ルイ王朝)
- ニックネームも大好き(斬新な発想で命名、呼びにくくても構わず連呼!)
- 現代より古文や歴史に通じている(それをお洒落っぽく使う能力有り)。
- ポエム大好き(大抵恋の詩)。
なんて素敵な人達だろう。乙女の情念を美しいドレスに包んでポエムに載せるのだ!少女の欲は深く美しい!