なんだか却って選択肢が少なくなった気がする。と言うのも前橋にまた新しいショッピングモールができたのだ。モールとはいっても北米に多く見られるそれとは違い、郊外型の中規模店舗の集まりである。一般の商店街との決定的な違いは、巨大な店舗や売り場、清潔なフロア、一般受けする商品だけが大量に並んだ棚、それらを神々しくさえ見せる整然さだろう。そこには期限切れの「うまか棒」や変色した歯ブラシなんかはない。
さらにこいつらはチェーン展開する。まるでゲームソフト「シムシティ」のように、広大な土地にスーパーマーケット、ドラッグストア、駐車場などが乗っかったのがセットになって、いつのまにかポポンと出現しているのだ。たぶんどこかにゲームのプレイヤーがいるのだと思う。ボタンを押す。モール増える。ボタンを押す……。それでコンビニよりも一段上の高みから、私たちの生活を席捲する。平均化標準化同一化されていくことへの恐怖感。均される側でしかない私。
一方、この実世界のオルタナティブと言えばインターネット上の仮想現実であろう。手で触れられる世界が融解し、巨大資本によって再び均一な型でのっぺらと鋳造されてゆくのに比例して、ネット上の多様性は増殖するばかりだ。
さて、その小さな増殖体として、「季刊・西のあけぼの」ウェブ版がインターネットで公開された。あくまで紙版のバックナンバー置き場ではあるが、「ネット上だからできること」も試みるつもりでいる。紙版の手渡しできるという利点とウェブ版の柔軟性で、なんとか自分も一プレイヤーだってことが確認できそうな気がするのだ。